環境教育教材の制作とCGNの出版物

コーディリエラ山岳地方の自然や先住民族の文化に即した環境教育のための教材を制作し、学校などで配付しています。

また、アグロフォレストリー(森林農法)、持続可能な農業、エネルギー適正技術などにかんするマアニュアル・ハンドブックを、農家の人にもわかりやすい形で制作し、講習会やワークショップで配布しています。

・ビデオ「Whisper of the Forest」(2004)

2004年に制作したCGN初の環境教育マテリアルです。コーディリエラ地方で起こっている森林破壊の現状について取材したドキュメンタリービデオです。

 


・絵本「MOONBEAMS」(2006)

2005年に行った「エコロジカル・ストーリー・ライティング・コンペティション」で1等に輝いたノネット・ベネットNonnet Bennetの「MOONBEAMS」に、在バギオのアーティスト、レオナルド・アギナルドLeonard Aguinaldoに挿絵をつけてもらいました。山岳民族の子供向けの絵本として制作し配布・販売しました。ストーリーは、ベンゲット州の民話に出てくる3人の妖精たちをモチーフにしています。森を畑に変えていくことで、水がなくなり住む場所を失う妖精たち・・・・ベンゲット州の環境破壊に警鐘を鳴らすものとなっています。


・アグロフォレストリー(森林農法)紹介「An Introduction to Agroforestry」(2007)

CGNがさまざまなコミュニティで行っているアグロフォレストリー事業で参加者の皆さんにアグロフォレストリーの基本を理解してもらうための小冊子です。CGN副代表のジョン・タクロイ氏が執筆を担当しました。


・ハイスクール向け環境読本「The Little Green Book」(2007)

ハイスクール(中学校・高校)の生徒がコーディリエラ地方で起きている環境問題を知るための小冊子です。森林、鉱山開発、農業、野生動物、水資源などさまざまな環境問題を紹介しています。

 

・ビデオ「Where have all the Monkeys Gone?」(2007)

2006年6月、国連世界環境デーにベンゲット州キブンガン町とバギオ市で行ったエコ・アート・プロジェクトのドキュメンタリーです。インドネシア、日本、アメリカのアーティストとフィリピンのアーティストが、ベンゲット州キブンガンの人たちと一緒に地元の土を使ってサルのお面作りをし、野焼きをしました。バギオのアートスペースVOCASでの展示にいたるまでの始終と、昔のキブガンのことを知っている老人たちへのインタビューなどで構成されています。21分。環境ビデオ・コンテストに出品され、マニラなどでも上映されました。メイベル・バトンMabel Batong撮影・編集。

 

➡ビデオ「Where have all the Monkeys Gone?」

 


ビデオ「A Anak Di Kabiligan」(2008)

 

取材・撮影・編集: Meian Dantos

ナレーション:Valeree Norasco

 

2007年12月にバギオのコンベンションセンターで開催した第1回コーディリエラ・ユース・エコロジカル・サミットに参加したコーディリエラ山岳地方の5つの州の高校のパフォーマンス公演と、それぞれの地域の自然と環境の紹介とファシリテイターのインタビュー。

紹介映像はYou Tubeにアップロードされている。

  

アブラ州:”Lapat" AMDEC Cultural Ensemble➡

マウンテン州:Libong, Tadian " Obon di Malayad”➡

ベンゲット州カバヤン:"Kapegchan” by Tanghalan Niyal ni Kabayan‶ ➡

イフガオ州フンドアン: ”Nan Boltan” by Teatro Kabbakab ➡

カリンガ州パシル:Hope by Kalinga Treasure ➡

 

 


・有機農業紹介本「Organic Farming」(2008)

CGNからは栃木県の「アジア学院」に今までに二人の研修生を送っています。アジア学院はアジアやアフリカなど、世界の新興国の若者に対する有機農業指導とや農村リーダー育成のための施設です。帰比後、コミュニティで有機農業を教えるときのマニュアルとして作成しました。


・小学4-6年・小学校教員向けの環境教育マニュアル「Our Environment Now-Integration of Environment Education」(2009)

・小学1-3年・小学校教員向けの環境教育マニュアル「Our Environment Now-Integration of Environment Education」(2010)

2年間にわたりコーディリエラ地方の6州のパイロット地域で行った小学校教員向けのワークショップでは、さまざまな科目においてどのように環境教育を取り入れていくかをテーマとし、参加者の教員たちにモジュール作りをしてもらいました。提案されたモジュールの中から、とくに参考となり実践的なものを取り上げて紹介しています。ファシリテイタ―はメイベル・バトンMabel Batong。教員向けの環境教育講習会などで配布。


・コーディリエラ山岳地方に伝わる民話・日本語版(2011)

さまざまなコミュニティで青少年対象に行ってきた演劇を使った環境教育ワークショップの参加者のグループ「アナク・ディ・カビリガン」は、2011年に環境教育研修と国際交流を目的に日本を訪問しました。この冊子では、コーディリエラ地方の文化と伝統の紹介として公演した4つの演劇作品のもとになった民話を日本語で紹介しています。観客向けの観劇の手引きとして会場で販売しました。

 

・コーディリエラ民族音楽家と日本人ダンサーによる即興パフォーマンスのビデオ「YAMANBA」(2012)

環境教育ワークショップで何度もコーディリエラ地方を訪問している日本人コンテンポラリー・ダンサーのJUN AMANTOが、日本の古典能「山姥」をベースに、山の神を畏怖するコーディリエラの文化と日本の山岳信仰を重ね合わせオリジナル即興パフォーマンスを、フィリピン大学バギオ校で行いました。カリンガ地方の竹製の民族楽器の使い手たちが音楽を担当。フィリピン人女性ダンサー&シンガーのTAPATIと共演。


・民話絵本「The Golden Arrow of the Mt. Makikilang and other Cordillera Folktales」(2013)

CGNが2003年に開始したコミュニティにおける演劇をツールとした環境教育プログラムでは、頻繁に地域に伝わる民話をモチーフとしてきました。民話で扱われている自然との共生の知恵や、山の神や精霊にに対する畏敬の念は後世に伝えていくに値するものです。この絵本では、そんな中から2011年にコミュニティシアター・グループ「Aanak di Kabiligan」が日本に招待されたときに演劇作品として発表した3つのお話と、2012年にマウンテン州サバンガンでの環境演劇ワークショップの際に収集したお話の4つを収録しています。お話ごとに日比の4人の版画家に挿絵を提供してもらいました。

ーThe Golden Arrow of Mt.Makikilang<Kalinga>(挿絵版画:Joy Cobcobo)

ーPaco Paco<Benguet>(挿絵版画:Fara Manuel)

ーThe Legend of Arimoroan<Apayao>(挿絵版画:Leonrd Aguinaldo)

ーEaten-A Sabangan Legend<Mountain Province>(挿絵版画:ふるさかはるか)


・適正技術紹介「An Introduction to Appropriate Technology Practices」(2013)

CGNがいままでの事業で指導してきた有機農業のためのコンポストやミミズ堆肥の作り方、木酢液の採取施設の作り方、森林破壊の原因となっている薪にかわるエネルギー源であるバイオガス施設の作り方など、村の人が小さな予算で自分で作れる簡単テクノロジーを紹介しています。

 

・アートを使った環境教育マニュアル本「A Manual of Visual Arts Workshops for the Environment」(2013)

2012年にマウンテン州サバンガンで行った「アートを活用した環境教育プログラム」の記録を基にしたマニュアル本。地域の自然素材を生かして、子どもたちにアートを使って楽しみながら自然の豊かさや多様性を感じてもらえるようなアート・レッスン例を紹介しています。土絵の具による絵や木版画の折り本作り、ロール式芋版画、端切れのタピストリー作り、粘土笛、竹のオリジナル横笛、コーヒー染色、ハイビスカス絵の具など、日比のアーティストが知恵を絞って考え出したモジュール集です。 

 

カリンガ民族の民話絵本「The Luplupa Villagers and the River Creatures」(2015)

2014年にカリンガ州ティグラヤン町で行った「演劇を活用した環境教育ワークショップ」の際に収集した民話の中から、ルプルパ村に伝わるお話を絵本として出版しました。挿絵はルプルパ小学校の子供たちを対象にソイル・ペインティングのワークショップで子どもたちに描いてもらいました。民話の収集とリライトはバギオ在のライター、ドゥマイ・ソリンガイDumay Solingay、ソイル・ペインティングのワークショップは、ビンセント・ナヴァロVincent Navarroとロッキー・カヒガンRocky Cajiganが担当しました。お話は村に住む二人の子供のいわば冒険物語。カリンガ州の伝説の精霊・アンタン、川に住むカニとウナギ、森に棲む鳥が登場し、精霊や動物たちと同じ地表で暮らす村の人々の様子がうかがえます。

子どもたちの原画は2016年1月にバギオ市のCafe by the Ruin Duaで展示。ルプルパ小学校の子供たちによる民族の言葉によるストーリーテリングも行いました。この絵本プロジェクトは高い評価を得、2016年5月にはマニラのNCCAギャラリーでの「ISTORYA TI LUPLUPA」展に招待されました。アート・ファシリテイタ―、アルマ・キントAlma Quintoがマニラで子供たちにファシリテイトした子どもたちの作品とともに展示されました。


コーヒーの収穫後の加工方法についてのハンドブック「Handbook on Harvesting and Postharvest Processing of Arabica Coffee for Good Quality」(2015)

2013年より2年間ベンゲット州国立大学(BSU)に留学し、CGNの森林農法によるコーヒー事業地において栽培から加工、選別、カッピングまでを指導した山本博文氏とベンゲット州国立大学(BSU)教授、ヴァレンティーノ・マカネスValentino Macanes氏が、収穫後のコーヒーの加工方法を解説したハンドブック。農家配布用に写真入りでわかりやすく解説しています。日本のNPO「平和環境NPOもやいネット」とのコーディリエラ地方のアラビカ・コーヒーの品質向上事業で制作(日本国際協力財団助成)。

 


コーヒーの品質向上のための消費者教育パンフレット「Savor...Blend...Roast...」(2015)

焙煎したコーヒーの香味からどのようにして品質を判断するかを広くコーディリエラ地方の消費者に紹介するための入門パンフレットです。2015年のベンゲット州のAdivay Festivalのベンゲット・コーヒー・カウンシル(BCC)主催のコーヒー・イベントや農家向け講習会で配布しました。「平和環境NPOもやいネット」とのコーディリエラ地方のアラビカ・コーヒーの品質向上事業で制作しました(日本国際協力財団助成)。


環境演劇ワークショップDVD「Environmental Theater Workshop-Theater Games & Forum Theater」(2016)

2014年に開始した「ルソン島北部先住民族の子供たちを対象とした演劇を活用した環境教育プログラム」(りそなアジア・オセアニア財団 環境事業助成)で実施したワークショップを撮影したビデオ作品。演劇ファシリテイタ―・花崎攝氏の指導で行ったシアター・ゲーム、フォーラムシアターの手法を用いて、どのようにして環境問題解決の方法を演劇を使って取り組んでいくかを紹介しています。環境演劇ワークショップのマニュアルとして学校などに配布。38分。


●コーヒー栽培農家のためのハンドブックー剪定と若返りカットバックの技術指導マニュアル

「Proper Pruning and Rejuvenation」(2017)山本博文著

「Proper Nursery Construction」(2017)山本博文著

2015年-2018年にNPO法人平和環境もやいネットとともに行った「フィリピン北部山岳地方におけるアラビカ・コーヒー品質向上のための基準作りと普及事業」(日本国際協力財団助成)で、栽培農家に配布するために制作しました。専門家としてプロジェクトを引っ張ってくれた山本博文氏が農家向けにわかりやすく書いてくれました。コーディリエラ山岳地方には50年以上たっていると思われる古いコーヒーの木も多く、それら古い木のカットバックと呼ばれる若返り剪定の仕方を説明したハンドブックと、自分たちで苗木を作れるようになるための苗場づくりについてのハンドブックの2冊を出版しました。生産地での講習会で配布を継続しています。

 


「演劇ワークショップでアジアの農村をつなぐ」(日本語)(2018)

「フィリピン、インドネシア、日本の青少年を対象とした環境問題をテーマとした演劇交流事業」(国際交流基金アジアセンター)の2年目、イフガオ州で行った聞き書きをベースにした演劇ワークショップには、日本からたくさんのアーティストの方たちがファシリテイターとして参加してくれました。気軽に写真や情報がアップできるフェイスブックやブログで次々と報告や感想をアップしてくれました。とても素敵な文章がこのままSNSの宇宙に埋もれさせてしまってはもったいないと、アーティストの小池芽英子さんとアートマネージメントの小山冴子さん、CGNの反町眞理子の3人で1冊の本にまとめることにしました。小池芽英子さんの友人の山崎書店さんのご厚意で印刷させてもらました。5月のワークショップから10月の長野県上田市でのワークショップと公演までの5カ月の想いのたくさん詰まった記録集です。

著作&写真&挿絵:飯塚紀子/岩波康平/小山冴子/小池芽英子/古城日向子/反町嵐/反町眞理子/高濱浩子/竹本泰広/千葉ゆり/花崎攝/直井恵/直井保彦/三輪恭子/Alvin Patacsil/Gladys Maximo/Lynette Crantes Bibal/Rainel Lee/Rochelle Bakisan


●持続可能なコーヒー栽培についてのハンドブック「Coffee and Sustainability」(2019)

「環境に配慮した持続可能なコーヒー生産とフェアトレードによるマーケティング能力向上事業」(NPO法人フェアプラス/地球環境基金)と「マウンテン州タジャン町における共有林の森林再生と先住民の生計向上のためのアグロフォレストリーによるアラビカ・コーヒーの植林」(イオン環境財団)で、二度、コーディリエラ地方にファシリテイターとして来てもらったインドネシアのKlasik Beans Cooperativeのエコさん(Eko Purnomowidi)とアビさん(Abyatar)。エコさんのプレゼンテーションは、手描きのイラスト満載のカラフルで楽しいものでした。自身もコーヒー農家からスタートし、地域の風土に合った小規模のアグロフォレストリーによるコーヒー栽培をインドネシア全土で続けるエコさんは、農家さんに言葉が通じなくても伝わるように改良に改良を重ねて指導教材を作ってきたとのことです。二人が訪問できたコミュニティはほんの限られたものでしたので、より多くのコーヒー農家に伝えたいと、コーディネイトを担当したHector Kawigの編集で冊子を制作しました。